「退色」観察記
屋外や、長期間貼られているポスターなどが色褪せているのを見かけることは多いと思います。
レトロ感を演出するならそれもまた味ですが、貼り出している期間に必要な情報が読み取れなくなってしまうのは困りますね。
今回は印刷物の色褪せ(退色)について調べてみました。
まず、印刷物の色がどれくらい保つのか1年間試してみました。
■
▼ざっくりと条件はこちら
・オフセット印刷とオンデマンド印刷
・用紙はマットカード 225kg
・南西の窓の外側と内側、北東の窓の外側と内側の4ヶ所に設置
・窓の外側の物は水濡れ対策としてラミネート(UVカット機能などはない、一般的なオフィス用のラミネートフィルムです)
▼1年経った印刷物がこちら
日の当たる時間が長く、窓の内側も気温が高くなりやすい場所です。
雨風の影響でラミネートも剥がれかけています。
南西側よりも日の当たる時間は短いので、比較すると色褪せ方が少しだけ遅い気がします。
外に貼ったものは退色しているだけではなく印刷していない部分が黄変して見えます。
ラミネートが変色しているのか用紙自体が変色しているのか確かめようとしたのですが、ラミネートと用紙がくっついてしまい上手く剥がせませんでした…。
▼1ヶ月ごとの経過はこちらから(PDFが開きます)
※撮影したときの時間や天気のばらつきがありますが、画像の色味は調整していません。
・オフセット印刷
・オンデマンド印刷
全体的にオフセット印刷の方が退色が目立ちます。
また、色別だとマゼンタとイエローが特に褪せてしまっています。
印刷にはインクやトナーが使われており、そこに含まれる顔料を構成する化合物が光(紫外線)によって変化してしまうために本来の色が出なくなってしまいます。
中でもマゼンタとイエローの顔料は化合物の結合が弱く、比較的紫外線に強いシアンやブラックより先に色が出なくなってしまうので色褪せた印刷物は青っぽく見えることが多いのです。
(印刷物の劣化はすべてがインク・トナーによるところ、というわけではなく紙が劣化することによる部分もあります)
できるだけ退色を抑えるために、ポスターなどでは耐候インキを使用することがあります。
プリントハウスではポスター印刷で用紙に「ユポ」を選択された場合、耐候インキでの印刷となります。
また、印刷後はUVカットのフィルムでラミネートする方法があります。
ご自宅でポスターを飾るときもUVカットが出来るフレームに入れると良いそうです。